技術士になるには

試験の概要

 技術士になるには、試験に合格・登録をしなければなりません。登録をすることで、「技術士」を名乗ることができます。また、技術士には、21の技術部門があります。

 21の技術部門には、機械部門、船舶・海洋部門、航空・宇宙部門、電気電子部門、化学部門、繊維部門、金属部門、資源工学部門、建設部門、上下水道部門、衛生工学部門、農業部門、森林部門、水産部門、経営工学部門、情報工学部門、応用理学部門、生物工学部門、環境部門、原子力・放射線部門、総合技術監理部門があります。

 技術士の試験には、第一次試験と第二次試験があり、それぞれの技術部門ごとに分かれて実施されます。

 第一次試験は、誰でも受験できます。しかし、第二次試験を受験するためには、第一次試験に合格、もしくは指定された教育課程(JABEE課程)を卒業し、一定の実務経験を積む必要があります。

日本技術士会の「技術士試験 受験のすすめ」から引用

第一次試験の内容

 第一次試験に受験資格はありません。そのため、誰でも受験することができます。ときどき、小学生が受験・合格して新聞に記事が載っていることがあります。

 試験の内容は、理工系大学の学部で学ぶ程度のものです。科目は、基礎科目、適性科目、専門科目の3つです。専門科目は、総合技術監理部門を除く20部門です。すべてマークシート方式で行なわれます。

 「 理工系大学の学部で学ぶ程度 」の内容と言われると、難しいのかな?と不安に思われるかもしれません。

 第一次試験の合格基準は、「3つの科目をすべて50点以上」になります。しかも、試験問題は、その半分程度が過去問題から出題される傾向があります。そのため、過去問題を3年間分しっかり取り組んでいれば、合格できる試験です。

 専門科目は、自分で好きな部門を選ぶことができます。そのため、自分が得意とする分野を選べばいいです。

 さらに、基礎科目は30問から15問を選択して解答します。専門科目は35問から25問を選択して解答します。そのため、分からない問題をパスできる、つまり、自分が解答できる問題を選べるという利点があります。

 適性科目は、15問出題で全問解答しなければいけません。しかし、適性科目は技術者倫理を問うものなので、一般常識の範囲で解答できる問題ばかりです。試験の過去問題と正答は、日本技術士会のWebページに掲載されています。

 試験は、毎年10月中旬に実施され、12月下旬に合格発表が行われます。受験申込書の受付は、6月下旬から7月初旬までです。

 試験地は、 北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の12都道府県です。

 受験手数料は、11,000円です。

 合格率は、全体で例年35~50%ほどです。しかし、技術部門毎に合格率にばらつきがあります。

 詳しくは、日本技術士会の「技術士試験 受験のすすめ」をご確認ください。

第二次試験の内容

  第二次試験は、前述したとおり、第一次試験に合格、もしくは指定された教育課程(JABEE課程)を卒業し、一定の実務経験を積む必要があります。 そのため、受験者の年代は、30歳代~50歳代が多いです。なかには、20歳代や60歳代以上の方もいます。

 試験は、7月に行なわれる筆記試験と11月~1月に行なわれる口頭試験があります。筆記試験の合格者のみが、口頭試験を受験できます。口頭試験に合格して、ようやく第二次試験に合格となります。

  総合技術監理部門を除く20部門 の筆記試験には、必須科目と選択科目があり、両科目とも記述式です。解答用紙は600字詰め原稿用紙で、指定された枚数を使って解答論文を書きます。筆記試験の合格基準は、必須科目で60%以上、かつ、選択科目で60%以上です。

  総合技術監理部門の筆記試験も、 必須科目と専門科目があります。必須科目Ⅰはマークシート方式で行なわれ、40問出題のうち全問を解答します。 必須科目Ⅱは記述式で、600字詰め原稿用紙を5枚使って解答論文を書きます。 必須科目ⅠとⅡを合わせて60%以上で合格です。

  総合技術監理部門の筆記試験の専門科目は、20の技術部門と同じです。そのため、20の技術部門に合格していたら、総合技術監理部門の専門科目は免除になります。

 総合技術監理部門は、20技術部門に合格した人が受験することがほとんどです。ですので、受験者は、40歳代から50歳代の方が多いです。

 筆記試験は、毎年7月中旬に実施され、10月下旬に合否発表が行われます。口頭試験は11月~1月に実施され、3月上旬に合格発表が行われます。受験申込書の受付は、4月です。

 筆記試験の試験地は、 北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の12都道府県です。口頭試験は、東京都のみで実施されます。

 受験手数料は、14,000円です。

 合格率は、全体で例年10%台前半です。しかし、技術部門毎に合格率にばらつきがあります。

 詳しくは、日本技術士会の「技術士試験 受験のすすめ」をご確認ください。

技術士・技術士補の登録

 第一次試験に合格、もしくは、JABEE課程の学校等を卒業すると、技術士補に登録することができます。技術士補とは、技術士の業務を補助して、技術士になるために研さんを積んでいる修習技術者のことです。技術士補に登録しても、していなくても、第二次試験を受験することができます。

 第二次試験に合格すると、技術士に登録することができます。つまり、試験に合格するとは、技術士もしくは技術士補に登録できる資格を得られるということです。

 登録する前に、技術士や技術士補の名称を使用した場合は、罰則があります。