令和3年度の技術士第一次試験 適性科目Ⅱ-4は『安全保障貿易管理(輸出管理)』
このブログでは、令和3年度技術士第一次試験の適性科目の問題や選択肢を少し深堀りして、第一次試験の試験対策だけでなく、第二次試験の筆記試験や口頭試験の対策にもなるような解説を目指してみたいと思います!
今日は令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-4」を解説します。適性科目「Ⅱ-4」は、安全保障貿易管理(輸出管理)に関する問題でした。経産省が安全保障貿易管理について、Youtube動画を公開しています。その動画を見て参考にしながら、このブログを書いてみました。
安全保障貿易管理(輸出管理)
安全保障貿易管理(輸出管理)は、先進国が保有する高度な貨物(製品)や技術が、兵器の開発や製造などを行っているかもしれない組織などに渡ることを未然に防ぐ目的で実施するものです。これは、世界の国々が協力して行っています。
日本では、技術や製品が海外で軍事転用されることを防ぐため(拡散を防ぐため)に定められた法令として、外国為替及び外国貿易法(通称「外為法」)に記載されています。
その対象となるものは、海外への製品の輸出、海外出張時の製品の持ち出し、海外への製品サンプルの無償提供、輸入した製品の返品、海外からの視察団、海外への技術者派遣になります。製品だけでなく、ヒトも対象になるのは要注意です。
法令で定められた製品の輸出や技術の提供、ならびに、法令に該当しなくても用途や需要者に懸念がある場合は、経済産業省の許可が必要になります。もし違反した場合は、刑事罰や行政制裁があり、企業名が公表されることで企業イメージの低下や信用失墜の可能性もあります。
そのため、各企業や大学及び研究機関では、輸出管理の正しい知識の習得や輸出に関するルール作り(輸出管理手続き)が重要になります。経産省のサイトに輸出管理手続きの実務マニュアル例が掲載されていて、そこには「各企業等の実情に合わせて、自社に適したマニュアルを作成して活用」するようにと書かれています。法令に違反すると罰則などもありますので、ルールやマニュアルをしっかり作って、実際に活用できるようにしておきたいですね。
輸出管理
輸出管理には、該非判定・取引審査・出荷管理の3つの手続きがあります。
- 該非判定・・・その製品が規制の対象になっているかどうかを確認
- 取引審査・・・取引先との契約書やメール、取引先のホームページなどの情報により、製品の用途や需要者を確認し、軍事転用の恐れがないかどうかを確認
- 出荷管理・・・製品や技術などが審査したものと出荷しようとするもので同一かどうか、また、出荷許可を受けているかどうかを確認
これら3つの手続きを1つでも実施しなかった場合は、懸念取引に巻き込まれたり、法令違反になってしまったり、罰則などを受ける可能性があるので要注意です。国外に製品や技術を輸出する際には、その担当者だけでなく、各企業が組織として法令を守ることに意識して適切な対処を行っていくことが大切です。
令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-4」
それでは、設問の内容を見ていきましょう。
昨今の世界情勢を踏まえ、安全保障貿易管理がとても重要になってきています。輸出を行っている大企業から中小企業まで、そして大学や研究機関においても、輸出管理を適切に実施して法令を守ること、それが兵器の開発や製造に関連する取引に巻き込まれることを防ぐことにつながります(リスク低減)。
そのため、製品や技術が輸出規制に該当するかしないかを、企業内や学内での手続きで明確にしてから、輸出をした方がいいですね。また、国外に機材(測定装置など)を持ち出す場合は、輸出管理手続きが必要になることもご理解いただけると思います。
公知とは、「世間一般に広く知られていること、新規性がないこと」を指します。外国で非公開の情報を用いた情報交換を実施するために出張するのに、外国出張の申請書の輸出管理上の判定欄に「公知」と記載するのは、外為法の法令違反というよりも、一般的に考えてもダメですね。
令和3年度技術士第一次試験 適性科目の問題と正答、及び、技術士倫理綱領は、日本技術士会のホームページに掲載されています。
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