令和3年度技術士第一次試験 適性科目Ⅱ-8は『製造物責任法(PL法)』
このブログでは、令和3年度技術士第一次試験の適性科目の問題や選択肢を少し深堀りして、第一次試験の試験対策だけでなく、第二次試験の筆記試験や口頭試験の対策にもなるような解説を目指してみたいと思います!
今日は令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-8」を解説します。
適性科目「Ⅱ-8」は、製造物責任法(PL法)に関する問題でした。
製造物責任法(PL法)とは
製造物責任法(PL法)は、技術士第一次試験の適性科目にも出題されますし、第二次試験の総合技術監理部門の筆記試験(択一問題)でも出題されることのある大切な内容です。ご自身でも法律の内容を調べて、しっかりとポイントを押さえましょう!
製造物責任法(PL法)は、1995年7月1日に施行されました。この法律は、製造物に欠陥があり、それによって損害が発生した場合、その原因が製造物の不良や欠陥によるものと証明できたときには損害賠償を受けることができるというものです。
PL法の対象となるものは、製造又は加工された動産です。そのため、無体物(サービス、不動産、加工がされていないもの、コンピューター、プログラムなど)は対象外になります。
PL法により製造物に対する責任を負う者は、PL法の義務者となります。
PL法の義務者(3種類)
- 製造業者および輸入業者
- 表示製造業者
- 実質的製造業者
PL法は、製造物を製造や加工した業者だけでなく、その製品を輸入した業者、製造元、輸入者、輸入元、実質的な製造業者と認識できる者も製造物責任を負うことになる点がポイントです。
一方、PL法には免責されるケースがあります。「開発危険の抗弁(こうべん)」と「部品・原材料製造業者の抗弁」です。
開発危険の抗弁とは、製造物を引き渡したときに内在した欠陥が科学技術的に発見不可能であった場合、免責されるケースにあたります。
部品・原材料製造業者の抗弁とは、部品・原材料製造業者が製造業者の設計に従って製造した際に、その欠陥が製造業者の設計に関する指示にのみ起因していること、欠陥の発生に過失がないことを立証できたとき、部品・原材料製造業者が免責されるケースにあたります。
ところで、PL法の事例にはどのようなものがあるのでしょうか?
有名な事例としては、カネミ油症事件や森永ヒ素ミルク事件などがあります。最近の事例では、風力発電設備の不良事件、自動車車輪の脱落事件、冷やしキュウリO-157集団食中毒事件などがあります。
消費者庁のホームページに、「製造物責任(PL)法に基づく訴訟情報の収集」というページがありますので、気になる方はこのページで調べてみてください。
令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-8」
それでは、問題の解説です。
土地や建物などの不動産は製造物責任の対象外です。しかし、エスカレーターなどの動産は引き渡しの時点で不動産の一部になるのですが、引き渡された時点で存在している欠陥が事故などの原因であった場合は、責任の対象となります。開発危険の抗弁には当たらないということですね。
ソフトウエアは無体物なので責任の対象外です。しかし、ソフトウエアが組み込まれた製造物によって事故が発生した場合、そのソフトウエアの不具合と損害に因果関係が認められるときは責任の対象になります。
再生品の場合は、再生品を「製造または加工」した者が責任の対象になります。PL法の義務者にあたるからです。しかし、製造または加工した者がすべての責任を負うのではありません。再生品の原材料となった製造物そのものが有していた欠陥と再生品の利用に際して生じた欠陥との間に因果関係がある場合にのみ、原材料の製造物の製造者も製造物責任の対象になります。
動産の「修理」「修繕」「整備」は、動産の維持や回復のために行なうものとして、責任の対象外になります。
PL法の義務者、PL法の免責について、再度確認しておきましょう。
令和3年度技術士第一次試験 適性科目の問題と正答、及び、技術士倫理綱領は、日本技術士会のホームページに掲載されています。
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Michal JarmolukによるPixabayからの画像