令和３年度技術士第一次試験適性科目「Ⅱ-14」の解説

令和３年度技術士第一次試験　適性科目Ⅱ-14は『個人情報の保護』

このブログでは、令和３年度技術士第一次試験の適性科目の問題や選択肢を少し深堀りして、第一次試験の試験対策だけでなく、第二次試験の筆記試験や口頭試験の対策にもなるような解説を目指してみたいと思います！

今日は令和３年度技術士第一次試験　適性科目「Ⅱ-14」を解説します。適性科目「Ⅱ-14」は、個人情報の保護に関する問題でした。

個人情報保護

個人情報保護法は、氏名や生年月日、住所などの個人のプライバシーに係る大切な情報を取り扱う際に、個人の権利や利益を守るためのルールを定めたものです。

個人情報とは、氏名や生年月日などの特定の個人を識別できるもの、指紋や虹彩などの個人の身体のデータ、運転免許証番号やパスポート番号などの個人に割り振られる公的な番号を指します。

また、個人情報の中には、他人に公開されることにより、本人が不当な差別や偏見などの不利益を被る可能性があるため、それらの情報の取扱いに特に配慮すべきものがあります。そのような個人情報を「要配慮個人情報」と呼び、取扱いには特に配慮が必要です。要配慮個人情報には、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により被害を被った事実などがあります。「要配慮個人情報」の取得には、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です。

令和３年度技術士第一次試験　適性科目「Ⅱ-14」

それでは、適性科目「Ⅱ-14」の問題を見ていきましょう。

（ア）学習塾で、生徒同士のトラブルが発生し、生徒Aが生徒Bにケガをさせてしまった。生徒Aの保護者は生徒Bとその保護者に謝罪するため、生徒Bの連絡先を教えてほしいと学習塾に尋ねてきた。学習塾では、「謝罪したい」という理由を踏まえ、生徒名簿に記載されている生徒Bとその保護者の氏名、住所、電話番号を伝えた。

令和３年度技術士第一次試験　適性科目「Ⅱ-14」より

生徒Bとその保護者の氏名、住所、電話番号は個人情報です。生徒Aの保護者が謝罪したいという理由でも、学習塾は生徒Bとその保護者の個人情報を本人の許可を得ずに、他人に伝えてはいけません。

（イ）クレジットカード会社に対し、カードホルダーから「請求に誤りがあるようなので確認してほしい」との照会があり、クレジット会社が調査を行った結果、処理を誤った加盟店があることが判明した。クレジットカード会社は、当該加盟店に対し、直接カードホルダーに請求を誤った経緯等を説明するよう依頼するため、カードホルダーの連絡先を伝えた。

令和３年度技術士第一次試験　適性科目「Ⅱ-14」より

カードホルダーの個人情報は、クレジットカード会社が管理しています。当該加盟店はカードホルダーの個人情報を知らないので、クレジットカード会社は当該加盟店にカードホルダーの個人情報(連絡先)を伝えてはいけません。

（ウ）小売店を営んでおり、人手不足のためアルバイトを募集していたが、なかなか人が集まらなかった。そのため、店のポイントプログラムに登録している顧客をアルバイトに勧誘しようと思い、事前にその顧客の同意を得ることなく、登録された電話番号に電話をかけた。

令和３年度技術士第一次試験　適性科目「Ⅱ-14」より

店のポイントプログラムに登録している顧客は、ポイントプログラムを利用するためにお店に個人情報を提供しています。そのため、ポイントプログラムとは関係のないアルバイトの勧誘に、事前にその顧客の同意を得ることなく、顧客の個人情報を利用してはいけません。

（エ）顧客の氏名、連絡先、購入履歴等を顧客リストとして作成し、新商品やセールの案内に活用しているが、複数の顧客にイベントの案内を電子メールで知らせる際に、CC（Carbon Copy）に顧客のメールアドレスを入力し、一斉送信した。

令和３年度技術士第一次試験　適性科目「Ⅱ-14」より

メールアドレスをCC（Carbon Copy）に入力すると、メールの受信者にはCCに入力されたアドレスが知られてしまいます。顧客のメールアドレスは個人情報ですので、この使用方法は良くありません。メールの一斉送信の際には、BCC（Blind Carbon Copy）を利用しましょう。BCCに入力したメールアドレスは、他の受信者から見ることができないため、BCCはこのような状況でのメールの一斉送信の手段として利用できます。

問題文（ア）から（エ）の正誤は、私の見解です。日本技術士会からは問題文別の正誤は公表されていませんのでご了承ください。

令和３年度技術士第一次試験　適性科目の問題と正答、及び、技術士倫理綱領は、日本技術士会のホームページに掲載されています。

第一次試験の試験勉強について、こちらのサイトで少し詳しく紹介しています