技術士第二次試験の「必須科目Ⅰ」の書き方

技術士第二次試験の筆記試験には、必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ、選択科目Ⅲがあります。ここでは、「必須科目Ⅰ」の書き方のコツについて紹介します。

令和2年度の第二次試験に向けて

「必須科目Ⅰ」の書き方

「必須科目Ⅰ」は広い視野と技術者倫理が見られています!

必須科目Ⅰは、問題解決能力と課題遂行能力を見るための出題がなされます。出題内容は、「現代社会が抱えるさまざまな問題」に対して関心を持っているか、課題を見つけて方策を提示できるか、さらに技術者としての倫理観を備えているか、を問われます。

 評価されるポイントは、技術士コンピテンシーのうち、専門的学識・問題解決・評価・技術者倫理です。

 そのため、必須科目Ⅰは、

  •  専門知識を分かりやすい文章で書く専門的学識を評価
  • 1文は短く、主語と述語を明確にするコミュニケーション能力を評価
  • 問題現状と理想とのギャップを踏まえて、多面的に課題を抽出し、その方策を考える問題解決能力を評価

ここまでは、選択科目Ⅲと同じです。次の点が、必須科目Ⅰで追加されています。

  • 技術者倫理や社会の持続可能性の観点から、業務を遂行する上で必要な要件を書く技術者倫理を評価

を、心掛けて文章を書くようにしましょう。

必須科目Ⅰは、解答用紙3枚に記述します。令和元年度の基本的な設問内容は、(1)多面的な観点から課題の抽出と分析、(2)課題の方策、(3)新たなリスク、(4)技術者倫理と社会持続可能性でした。選択科目Ⅲが、(1)多面的な観点から課題の抽出と分析、(2)課題の方策、(3)新たなリスクでしたので、必須科目Ⅰは選択科目Ⅲに(4)技術者倫理と社会持続可能性が加わったものと考えるといいですね。

必須科目Ⅰの解答論文の配分は、解答用紙3枚に4つの章をなるべく同じくらいの分量になるようにしましょう。選択科目でも同じことが言えますが、ある章では1枚以上書いて、ある章は10行程度になってしまうと、コンピテンシーのコミュニケーション能力で評価が下がってしまう可能性があります。

評価を上げてA評価を得るためにも、解答用紙に文章を書く前に、必ず論文の骨子(見出しと簡単な内容を箇条書き)を作成しておきましょう。論文の骨子を書いておくことで、解答用紙に論文を書き進めるうちに論旨がずれてしまうことを、防ぐことができます。論文の論旨が一貫していることも、高評価につながりますよ。

必須科目Ⅰの試験時間は2時間です。まず1015分程度の時間を使って、論文の骨子を作成します。そして骨子を見ながら、論文を書きましょう。解答用紙1枚につき2025分くらいで書けるといいですね。

順調に論文を書き終えることができれば、試験時間が2030分ほど残ることになります。この時間で、論文の誤字脱字、受験番号や選択した問題番号の記入ミスがないかどうかの確認を行ないましょう。

「必須科目Ⅰ」では、どんなことが出題されるの?

必須科目Ⅰの出題内容は、技術部門全般に関わる社会的なエンジニアリング問題です。もう少し言い方を変えますと、「現代社会が抱えるさまざまな問題」を技術部門のそれぞれの科目に共通して関係する科学技術的な問題と関連付けて、技術部門の技術士の立場から解答します。

「現代社会が抱えるさまざまな問題」には、どのようなものがあるでしょうか?

例えば、令和元年度の必須科目Ⅰを見てみますと、労働人口の減少(少子化、高齢化など)、人材の育成と確保、SDGs、プラスチックごみによる海洋汚染、地球温暖化、自然災害の発生、国際競争力などが取り上げられています。

このような問題から、技術部門ごとのエンジニアリング問題が抽出されて、試験問題として示されます。技術部門の専門的な学識だけでなく、環境問題・労働人口の変化による経済への影響・人材育成・国土強靭化・国際問題などの動向もチェックしておきましょう。必須科目Ⅰの試験問題を予想したい方は、技術部門に関係する白書を読むといいですよ。白書のページ数は多いので、白書の概要版などがあれば、まず概要版を読んで、特に気になったところを白書の本体で精読するといいと思います。

 

次回は、「読みやすい論文の書き方」を説明します。

 

令和二年度技術士第二次試験の在宅模擬試験【応用理学部門・環境部門】を実施します。(2020年7月19日追記)

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