令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」の解説

令和3年度技術士第一次試験 適性科目Ⅱ-12は『労働者の安全衛生』

このブログでは、令和3年度技術士第一次試験の適性科目の問題や選択肢を少し深堀りして、第一次試験の試験対策だけでなく、第二次試験の筆記試験や口頭試験の対策にもなるような解説を目指してみたいと思います!

今日は令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」を解説します。
適性科目「Ⅱ-12」は、労働者の安全衛生に関する問題でした。

労働安全衛生法は、「職場における労働者の安全と健康を確保」するとともに、「快適な職場環境を形成」することを目的としています。「Ⅱ-12」では、安全と衛生に関する適切な文章を選ぶ問題でした。

(ア)総合的かつ計画的な安全衛生対策を推進するためには、目的達成の手段として「労働災害防止のための危害防止基準の確立」「責任体制の明確化」「自主的活動の促進の措置」などがある。

令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」より

労働安全衛生法の第一条(目的)に明記されていますので、この文章は正しいです。

(イ)労働災害の原因は、設備、原材料、環境などの「不安全な状態」と、労働者の「不安全な行動」に分けることができ、災害防止には不安全な状態・不安全な行動を無くす対策を講じることが重要である。

令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」より

労働災害の発生原因は、①物的要因である「不安全な状態」と人的要因である「不安全な行動」の両方に起因するもの、②不安全な状態のみに起因するもの、③不安全な行動のみに起因するもの、④不安全な行動でも不安全な状態でもなかったもの、があります。不安全な状態・不安全な行動を無くす対策は、災害防止に有効です。そのため、この文章は正しいです。

(ウ)ハインリッヒの法則では、「人間が起こした330件の災害のうち、1件の重い災害があったとすると、29回の軽傷、傷害のない事故を300回起こしている」とされる。29の軽傷の要因を無くすることで重い災害を無くすることができる。

令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」より

ハインリッヒの法則は「1:29:300の法則」として有名です。300回の傷害のない事故とは「ヒヤリハット」のことです。ハインリッヒの法則の考え方を踏まえて、「ヒヤリハット」を情報共有して対策を講じることで、重大な事故や災害を未然に防止することができます。そのため、この文章は誤りです。

(エ)ヒヤリハット活動は、作業中に「ヒヤッとした」「ハッとした」危険有害情報を活用する災害防止活動である。情報は、朝礼などの機会に報告するようにし、「情報提供者を責めない」職場ルールでの実施が基本となる。

令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」より

ヒヤリハット活動では、どんな小さなことでも「危険」と思ったら情報共有することが大切です。報告しやすい環境づくりとして「情報提供者を責めない」というルールも実施の基本になります。そのため、この文章は正しいです。

(オ)安全の4S活動は、職場の安全と労働者の健康を守り、そして生産性の向上を目指す活動として、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、しつけ(Shituke)がある。

令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」より

安全の4S活動は、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketsu)です。この4つに、しつけ(Shituke)を加えたものを5S活動と呼びます。そのため、この文章は誤りです。

(カ)安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)は、化学物質の危険有害性情報を記載した文書のことであり、化学物質及び化学物質を含む製品の使用者は、危険有害性を把握し、リスクアセスメントを実施し、労働者へ周知しなければならない。

令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」より

改正労働安全衛生法が2016年6月1日に施行されました。この中で、一定の危険性や有害性が確認されている640の対象物質に対して、リスクアセスメントの実施が義務となりました。事業者はリスクアセスメントの結果に基づき、適切な措置を講じます。また、事業者はリスクアセスメント結果を作業場の掲示板に掲示したり文書などを配布することで、労働者に周知しなければなりません。そのため、この文章は正しいです。

(キ)労働衛生の健康管理とは、労働者の健康状態を把握し管理することで、事業者には健康診断の実施が義務付けられている。一定規模以上の事業者は、健康診断の結果を行政機関へ提出しなければならない。

令和3年度技術士第一次試験 適性科目「Ⅱ-12」より

労働安全衛生法第66条により、事業者は労働者に対して健康診断を実施することが義務付けられています。そして、事業者は労働者の健康診断の結果を5年間保有しなければなりません。さらに、常時50人以上の従業員を雇用する事業者は、健康診断の結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。そのため、この文章は正しいです。

問題文(ア)から(キ)の正誤は、私の見解です。日本技術士会からは問題文別の正誤は公表されていませんのでご了承ください。

 

令和3年度技術士第一次試験 適性科目の問題と正答、及び、技術士倫理綱領は、日本技術士会のホームページに掲載されています。


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ทองศุกร์ สาสิมによるPixabayからの画像